「ウクライナのユーシェンコ大統領の味覚」

 先日来日した、ウクライナのユーシェンコ大統領は、クチマ前大統領を倒して当選した当時、選挙で使ったシンボルカラーに因んでオレンジ革命とまでいわれ、民衆の圧倒的な支持を得たのですが、その栄光は、既に過去のものとなってしまったようです。

 というのも、大統領の長男が「時価13万ユーロ(約1,800万円)以上の高級車を乗り廻し、5千ユーロ(約70万円)の携帯電話(どんな電話なんだ)を使い、高級レストランで毎夜豪遊している」と報じた、インターネット新聞「ウクライナプラウダ」の記事に対して、「身内のこんな中傷は、政府のどの人間に対しても今後、絶対に許さない」と同紙を激しく批判した、というのです。

 これに対し、同紙は「報道統制だ」と反発。大統領に、同紙への謝罪と言論の自由の尊重を求めた要望書には、650名のメディア関係者が署名したといいます。

 どこの世界でも、権力とマスコミは対立しがちではありますが、あのユーシェンコにして、マスコミに対しこのような高圧的な態度をとるのですから、困ったものです。

 そもそも、クチマは気に入らない新聞記者は殺害した過去があり、そのあと大統領になったユーシェンコは、権力を握ってもマスコミにはどのような配慮をしなければいけないか、よく分かっていたはずなのです。
 そのユーシェンコにして、マスコミへのこのような対応なのですから、これを称して自縄自縛というのです。

 そもそもこのユーシェンコは変わった味覚の持ち主でして、クチマ陣営が招待した食事によばれた際に、盛られた毒を食べてしまい、その毒がまわって顔面が変形してしまったのですが、その食事後、妻との接吻で妻は、「毒の臭いがした」というのです。
 いいですか。毒を食べた本人ではなく、食べた人と接吻をした妻が毒の臭いを感じ取ったのに、当の毒を食べた本人がまるでそのことに気づかなかったというのです。

 敵の陣営がセッティングした食事に、のこのこ出掛けて行く神経も天晴れですが、盛られた毒の臭いを接吻をした妻は分かったのに、食べた当人が分からない、というのですから、恐れ入った味蕾の持ち主です。

 したがってユーシェンコは、相当に味覚が鈍い人物といって間違いはありますまい。だからといって、一国の大統領に不適格だというつもりは毛頭ありませんが。

 兎に角、このような味覚音痴なのですから、先日来日した際、レストランのシェフは腕の振るいようがなくて、さぞや張り合いがなかったことでしょう。