「60回目の終戦記念日」と「全国民総懺悔」

 昭和12年に始まった日中戦争以来、昭和20年の終戦に至る8年の間に、約310万人(民間人も含む)もの日本人が命を奪われるという、その戦争が終わって60年経ちました

 そもそも戦端を開いたのが間違いなのですが、特に注意を促されるのは、約310万人の戦没者のうち、最後の1年間だけで200万人近い方々がお亡くなりになった、という厳然たる事実です。

 終戦の1年前に戦争を止めていれば、その200万人もの方々は、死なずに済んだのです。

 そして終戦直後、東久邇稔彦首相が呼びかけた「全国民総懺悔」の言葉は、かなり、おかしいのではないでしょうか

 なぜならば、「全国民」なのですから、開戦時の内閣総理大臣が懺悔するのは当然のこととして、日本のために尊い命を捧げた兵士の親御さんも、あるいは原爆を被爆し、塗炭の苦しみを受けている戦傷者も懺悔しなければならないことになって、いかにも具合が悪いのです

 かけがえのない息子の命を、日本のために捧げたのに、懺悔しなければならない、親御さんこそ不憫というものです。

 「全国民総懺悔」は明かに、一種のまやかしであって、責任の所在を日本人は未だに曖昧にしたままで、突き詰めようとしていません。