「神輿にみる日本人」

 江戸っ子の祭好きは有名ですが、江戸三大祭の一つに数えられ、3年に一度開かれる、江東区深川の富岡八幡宮の「本祭り」で、14日祭り一番の呼び物、「神輿連合渡御」が行われました。

 同祭は、別名「水かけ祭り」とも言われ、沿道の商店からは、神輿や担ぎ手だけでなく、見物客にも、瀧のような水が豪快に浴びせられる模様を、テレビや新聞でごらんになった方も多いかと思います。

 ぼくのふるさと、町田市の森野近辺では、秋分の日を中心に秋祭が盛んに行われており、今年もまた神輿を担がせていただく予定ですが、祭において神輿を担ぐ行為が行われるのは、つくづく日本らしい、と思うのです。

 どこが、日本らしいのか。
 肩に担ぐのが、日本らしいのです。

 つまり、神輿を肩で担ぐ、というのは、地面から肩までの高さにおいて大きな差がない、というのが前提なのです。
 身長差が大きければ、低い身長の方は肩が届かず、神輿にぶら下がることになり、高い身長の方ばかり担ぐことになって、神輿を担ぐ、というよりも“運ぶ”という行為になってしまいます。

 神輿を担ぐ、というのは、こうして身長差が少ないうえに、尚且つ、多少の身長差においては、身長の高い方は、腰をかがめ、身長の低い方は、爪先立つ、ということで、身長差を自らの配慮によって、ならす、ということです。

 こうして神輿が、「和を以って、尊しとする」日本らしい、というのです。