「『執行費用』は、有権者一人当たり721円」

 今回の総選挙にあたり、第一生命経済研究所候補者や地方自治体の支出に関する波及効果を試算したところによると、候補者一人当たりの支出は全部で1,131人立候補したので、併せて約140億円。それが、事務所費用や人件費、印刷費、広告費などで関連産業を潤す経済波及効果は353億円。
 さらに、投票所の経費や選挙公報の発行費など地方自治体の関連経費は約769億円で、その波及効果は1,874億円。
 合計2,227億円に上る、ということです。

 その際、税金が負担する「執行費用」のうち、人件費は、745億円でした
 これは、開票作業を行う地方自治体の職員に支払われる費用の合計金額です。
 現在の衆院選挙は、小選挙区比例区に1票ずつ、計2票を投じる制度なので、開票にかかる時間が以前に較べて余計にかかるために、現行の制度になった1996年から、1993年の従来の制度からみて1.5倍跳ね上がり、2003年は736億円かかり、そして、今回は745億円。有権者一人当たり721円になったのです。

ぼくは、これこそ「官から民」へと移行し、もっと費用を軽減すべきだと、思います。

 すると、そんなことをしたら、間違いが起こるのではないかと、危惧する方がいらっしゃるかもしれませんが、すでにして、間違いはいくらでも起こっているのです。

 たとえば、今回の選挙では、大阪府堺市比例近畿ブロックの開票作業で、第3開票区の各政党の得票数などを合計した「投票総数」が、投票した人数の「投票者数」を5,129票も上回るトラブルを起こしています
 ところが、第2開票区では逆に、投票総数が投票者数を5,145票下回っており、期日前投票の投票箱を保管先の市役所から各開票所に運ぶ際に、投票箱の一部を取り違えた可能性が高い、というのです。
 優秀といわれる、自治体職員にしてこの失態ですから、いっそのこと、民間に委託すれば、もっと安上がりで確実な開票作業が行われるのではないでしょうか。