「村上春樹が語る」朝日新聞夕刊3,4日

 今日の日本において、少しでも文学、特に小説が好きな方で、村上春樹にはなんら興味がない、という方は、とても稀な存在です。

 文学に興味のある多くの方々は、村上春樹を意識しないではいられないほどに、その存在は見晴るかすほどに、大きなものとなっており、それは『風の歌を聴け』でデヴューした当時は、だれもが想像すらしていなかったことなのです。
 それが、『羊をめぐる冒険』のあたりから村上は、現代日本文学が生んだ、数少ないbig nameの一人になっていったのでした。

 ぼくにしろもちろん、村上春樹は、26年前に登場してから今に至るまで、ずっと読み続けている作家です。

 その村上春樹に、朝日新聞の由里幸子編集委員がインタビューした記事が、昨日と今日の朝日新聞夕刊に掲載されています。

 それが面白かったので、以下に抜き書きします。結果的に、昨日に続いての抜き書きで、恐れ入りますが。

“あるとき、意識の奥の方にポンとトンネルを開けることができて、向こうと行き来ができるようになった。

 難しい感想を言われるよりも、たとえば『カフカ』のナカタさんが好きだとか、あの猿は好きだったとかいってもらえるとうれしい。

 ぼくは小説家になろうと思ってなったわけじゃなくて、たまたま小説家になった。天の恵みみたいなもんです。

 世界のどこでも、「よくわからないけれど、よく分かる。筋を整合的に論評はできないけれど、すごくリアルに感じられる」という反応が似ているという。”