「日曜日は読書欄」

 日曜日の楽しみは、新聞の読書欄を読むことです。

 ぼくは朝日新聞を購読していますが、5月14日は、ハンナ・アーレントの『思索日記』(法政大学出版局)を、柄谷行人が採り上げていました。

 そこから引きます。
 “全体主義は西洋の哲学・宗教に反するものではなく、むしろそこに胚胎する。一口でいえば、それは、人間の「複数性」を認めない思考である。
 (中略)マルクスは古典派経済学にもとづいて、「労働」を根底におき、生産物の価値が交換過程において見いだされる次元を軽視した。
 それは、交換という、「活動」の次元、つまり、予測不可能な他者との関係の次元を見ないことである。こうして、「労働」を根底におくことが、複数性(他者性)を否定する「全体主義」に帰結したのである。”

 なるほど、眼から鱗が落ちるように、労働価値説の危険性を納得させてくれる言説です。