「勘違い」
昨年亡くなった父は、ぼくの名前を呼ぶときに、実にしばしば弟の名前を、呼んだものでした。
そのときは、何で二人しかいない兄弟の名前を呼び違えるのかと、不満を覚えたものでしたが、今になってそれは、「認識の誤差」に基づくのではないか、と思うようになりました。
「認識の誤差」とは、頭では、二つの事物の違いを認識しているのにもかかわらず、それを口に出すと、混同してしまうことを言うのです。
ぼくの場合、それは、二つありまして、一つは、“冷蔵庫”と“洗濯機”であり、もう一つは、“寺院”と“神社”です。
“冷蔵庫”と“洗濯機”であれば、この二つは見た目にはまるで違うものですが、どちらも、白物家電という共通性があります。
“寺院”と“神社”にしても、どちらも宗教施設という共通点があります。
それがために、つい混同して、二つを言い間違えてしまうのです。
たとえば、「冷蔵庫で洗濯する」だとか、「お寺の神主さん」といった具合に。
これをお読みになっているあなたは、そういうことは、ありませんか。