「日曜日の楽しみ」

 日曜日の楽しみは、ぼくの場合、新聞の読書欄を読むことです。

 たとえば、17日の朝日新聞の読書欄では、三谷博(東大教授)の著書『明治維新を考える』(有志舎刊)が採り上げられていましたが、野口武彦の書評によれば、明治維新は、歴史の一つの謎だそうです。

 その謎を整理すると、下記の3点になります。
1、維新で消滅した武士身分が、打倒されたわけではないのに、黙々と秩禄処分を受け入れて「社会的自殺」を遂げたのはなぜか。

2、権力転覆を不可避とするような「単純・明白な原因」が見当たらないのに、幕府が瓦解したのはなぜか。

3、明治新政権が、「復古」の大義を掲げながら「文明開化」なる欧化政策を推し進めることに矛盾を感じなかったのはなぜか。

 なるほど、たしかにおっしゃるとおりです。

 ほかにも、徳富蘇峰徳富蘇峰終戦日記』での記述、敗戦の責任の追及における主な対象に、昭和天皇が含まれていること。
 それは、蘇峰の提言を聞かず、彼を疎外したことへの怨みつらみと結びついていた、という指摘が、面白かった。

 もう一冊。
 粕谷一希『作家が死ぬと時代が変わる』(日本経済新聞社刊)。
 著者の根幹には寛容を尊ぶリベラリズムがある。複雑な今の時代を見渡し論壇を活性化させた功績を越境者、山口昌男山崎正和に見る、との記述に、意を強くしたのでした。