「山崎ナオコーラ『指先からソーダ』」

 朝日新聞の連載ならば、『夕陽妄語』とは相当に毛色は違うものの、山崎ナオコーラが土曜版に連載している『指先からソーダ』も、結構面白い。
 因みに、山崎ナオコーラは2004年に、『人のセックスを笑うな』で文藝賞を受賞した閨秀作家です。

 10月7日では、「あきらめるのが好き」と題して、こう記しています。
 “身の上に落ちてくる諦念という言葉を甘受したい。
  失恋が好き。
  あの人をあきらめられる。
  失業が好き。
  買い物をあきらめられる。
  (中略)
  だるいのが好き。
  勉強をあきらめられる。
  年を取るのが好き。
  可能性をあきらめられる。
  ばかにされるのが好き。
  プライドをあきらめられる。
  (中略)
  うまくいかないのが好き。
  成功をあきらめられる。
  遅いのが好き。
  スピードをあきらめられる。
  空腹が好き。
  おいしいものをあきらめられる。
  (中略)
  あきらめてもあきらめても、生きていける。
  自分は、すごい。”