「『寝床で読む『論語』―これが凡人の生きる道』」
今年出た新書のなかで、面白かったものの筆頭に『寝床で読む『論語』―これが凡人の生きる道』(ちくま新書)を、挙げたい。
著者は山田史生さんといって、たまたまぼくと同い年の(弘前)大学教授です。⇒http://db.jm.hirosaki-u.ac.jp/cybouz/db.exe?page=DBRecord&did=185&qid=1509&vid=718&rid=93&head=&hid=&sid=4&rev=1&fvid=748
ぼくは、『論語』に関しては、山田史生さんの恩師にあたる金谷治の訳注による岩波文庫を、たまに寝しなに読む程度で、まったく何も知らない者です。
それが、本書を読むと、実にすらすらと頭に入るのです。
たとえば、[憲問]にある、
子曰く。君子は上に達し、小人は下に達す。
これが、金谷本ですと、先生がいわれた、「君子は高尚なことに通ずるが、小人は下賎なことに通ずる。」
それを山田本ですと、先生はいわれた。教養ゆたかな人間は、大切なことを悟っており、知識まみれの人間は、つまらないことを知っている。
大切なことは、いかに楽しく生きてゆくかということである。つまらないことは、どうやって金を儲けるかといったことである。
とまで、砕いてくれるので、ぼくのような素人にも実によく『論語』が分かるのです。
もうひとつ。[学而]にある、余りにも有名な言葉を山田本では、こんな具合に訳しています。
子曰く。巧言令色、鮮なし仁。
先生はいわれた。口がうまいのに、ろくなやつはいない。
今年は、選挙をはじめ、実に多くのことで皆様に特段にお世話になり、本当にありがとうございました。
あらためて、この場を借りて、御礼申し上げます。
まもなく迎える2007年がお互いにちょっとは、好い年でありますように。