「2007年前期最高の散文」

 ぼくをご機嫌にさせるのは、簡単です。
 好い散文を読ませることです。

 今年も半分終わりましたが、その中で最も出色だった散文は、伊藤礼が「月刊百科」に連載している『父母のこと』です。

 伊藤礼とは、日大教授を勤めた文学者であり、お父上は伊藤整、お兄様は早大教授(都市工学)です。

 特に連載2回目の「母の乳房」は、傑作です。

 上記作品を読みぼくは、伊藤礼は、今日読める日本語の散文では最も上等のものを、阿川弘之とともに産する人物であると、確信した次第です。