「ジェラルド・カーティス先生講演会」

 ジャーナリストE.Barralが朝日新聞に連載している「エチエンヌのクールジャパン」(7月20日夕刊)を読んでいたら、フランスの研究者ジャンフランソワ・サブレが、日本人の性格で一番好きなところは、「好奇心」と答えたそうです。

 好奇心の衰えないらん丈は、今日は、早稲田大学大学院公共経営研究科客員教授でもある、コロンビア大学ジェラルド・カーティス教授の講演を伺いました。
 特別講演会の演題は、『日米関係と日本政治』というもので、午後1時5分から10分間の休憩を挟んで、午後4時15分までの3時間という長丁場でしたが、それをまるっきり感じさせない、充実した実に面白い講演でした。
 以下に、気づいたことを列挙します。

1、日本政治における55年体制では、エリート集団における非公式な調整メカニズムが、有効に機能していたが、それを崩壊させたのは、非公式な調整メカニズムを支持しない層の増大だというのです。
 それを端的に表しているのが、千代田区の至る所に立てられている看板、「マナーからルールへ」だという指摘には、なるほど、と思わされました。

2、日本の(戦後)外交は、対応型外交といわれるもので、その際重視される、時流に乗る、世界の大勢を重視、普通の国として国際貢献する、世界の孤児、これらの言説は、英語に翻訳できない、日本独特の外交観念という指摘。

3、日本は、独自のsoft powerをもっと外国に流出させて、それを以て、powerを保持したらどうか、という提案。
 たとえば、「清潔感」、「礼儀正しさ」、「謙虚な態度」。

 既にして日本は「美しい国」なのですから、これからは、それをどれだけ維持できるかが問われている、という指摘には、拍手を送りたくなったものです。