岩波書店「図書」に連載されている、中井久夫の『私の日本語雑記』八(9月号)もまた、興味津々でした。
すでに、中井久夫に関しては、この日記の、2006年2月9日、7月17日、12月10日でも触れていますが、今月は、翻訳書に関してです。
中井は、実験心理学にふれて、「意味飽和」に言及しています。
それは、例えば、“モーツァルトの音楽も百度続けて聴くと、しらじらとした無意味に近づく。”と説明しています。
なるほど、その通りです。
さらに、“芭蕉の「古池やかわず跳びこむ水の音」はもはや新鮮な感動を生まないように思うが、それは全国民的な意味飽和ゆえかもしれない。”と続け、ぼくは深く首肯しました。