「奇妙な産経新聞」

 読者獲得競争で、産経と朝日が角逐を戦わせることは、市民にとっては、むしろ結構なことですが、産経新聞の言説には興味深いところがありますね。

 たとえば、沖縄戦の集団自決をめぐる9月29日の県民集会の報道に関して、朝日が朝刊1面でそれを「沖縄11万人抗議」との見出しを打つと、「関係者によると、参加者は最大で43,000人だそうです」と産経が応じる。
 なのに、産経の紙面には、「撤回求め11万人集会」と見出しを打つ。

 つまり、産経新聞は、他紙には「参加者43,000人」ではないかと、疑義を呈しながら、自紙が他紙と同じ11万人と報道することには何らの疑義を差し挟まない、という市民感覚とは一線を画した報道姿勢があるようで、なかなか興味深い、というか、理解し辛いものがあります。