「お気に入りの記者」

 昨日から、朝日新聞と読売新聞の文字が大きくなりました。
 あわせて朝日と読売は、紙面をそれぞれ15段と14段から、12段へと変更しました。
 これは、昨年他紙に先駆けて文字を大きくした毎日新聞に追随した動きともとれますが、何より、超高齢社会へと突入した日本では、不可避の変更でしょう。

 朝日では、3月29日をもって土曜版に連載されていた、「愛の旅人」が最終回となりました。
 最終回の文章を担当したのは、保科龍朗記者ですが、ぼくはこの保科氏の文章が結構好きです。

 たとえば、「愛の旅人」最終回はこんな具合に始まります。
 “しどけなく身をくねらせながら、従順なアリスは豊満な肢体を古めかしいソファに横たえた。
 50キロにやや足りない重みがクッションのきいた布地を柔らかくしならせ、バランスを崩さないよう手足をばたつかせる幼げなしぐさが、主人である老作家の愛情をことさらにかき立てる。
 涙ぐんでいるかのように潤んだアリスのまなざしは、主人の手荒く気まぐれな愛撫をひたすら待ちかねていた。”

 この老作家とは、団鬼六であり、アリスとは雌のラブラドルレトリバーなのです。
 どうです。気を持たせる書き出しでしょう。
 こういうの、ぼく、好きです。