「生きることがつらい人に」

 またまた朝日新聞夕刊に連載されている9月18日分の、佐々木閑花園大学)教授の文章からです。

 “仏教は本来、「家内安全、お願いします」「商売繁盛、頼みます」といった、先行きの幸運を願う宗教ではない。家内が安全でなく、商売も繁盛せず、「生きていくのがつらい」と感じている、そういう人のために仏教はある。
 釈迦の時代、出家して弟子になった人の多くは、「生きる苦しみ」に疲れ、もうどうにも行き場所のなくなった人たちだった。普通なら、生きるのをやめてしまうところだ。それを仏教は救う。
 「住み慣れた日常社会の決まり事で生きていこうと思うから行き詰まるのだ。一度それを全部捨てて、出家せよ。そこには、普通の人が望むような世俗の幸せはないが、その代わり、苦しみを離れた平安の日々がある。さあどっちにする。死ぬか、出家するか」と、こういう厳しい問いかけをする宗教だった。長い歴史の中、自殺するのをやめて仏教で再出発した人の数は膨大なものに違いない。”

 ぼくは、カトリックですが、仏教も勉強してみようかなと思わせる佐々木先生です。