「王監督を前に一席」

 王監督が、福岡ソフトバンクホークスのユニフォームを脱ぐことになりました。
 感慨深いものがあります。
 思えば、ぼくが生まれた1959年に、王さんは巨人軍に入団したのですから、随分長い間、プロ野球の第一線であり続けたのです。

 その王さんの目の前で、ぼくは落語を一席勤めたことがあります。
 ぼくが、北陸の余りにも有名なある温泉旅館に仕事で入っているとき、たまたま王さんがお忍びで来られ、芸人として、その席に、お呼ばれされたのです。

 第一印象は、さほど大きくはないのだな、というものでした。
 でも、その大きな尻がさすが、元野球選手らしく、何よりもその鋭い眼光に、王さんの最も大きな特徴がありました。
 あれほどの眼光の持ち主には、ぼくはいまだかつてお会いしたことがありません。