「梯久美子『昭和二十年夏、僕は兵士だった』」

 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家の梯久美子さんが、『昭和二十年夏、僕は兵士だった』(角川書店)を、刊行されました。
 同書には、金子兜太俳人)、大塚初重(考古学者)、三國連太郎(俳優)、水木しげる(漫画家)、池田武邦(建築家)の5人の元兵士たちが、戦争と戦後をどう生きたのかが記されています。

 たとえば、金子兜太は、アメリカ人の屈託のなさに惹かれ、それに打ちのめされる。
 大塚初重は、乗っていた船が撃沈されて、ぶらさがっていたワイヤーにつかまる。ところが、その脚に、別の兵士がすがりつく。それを大塚はふりほどく。
 水木しげるの戦友は、生きた魚を食べようとして、それを喉に詰まらせて亡くなる。

 それも、これも、戦争です。
 こうして、多くの日本人は、戦争によって、納得できない死を強いられたのです。