「『坂の上の雲』は「壮大なる駄作」」

 早稲田大学法学部報『テミス』No.29に、曽根威彦教授が、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を「壮大なる駄作」と指摘していました。

 理由は、「明治期における天皇制国家体制の問題性に触れることなく、その枠組みにとっぷりつかって歴史の流れを高所から俯瞰しているに過ぎないからであろう」というのです。

 「そこでは、戦争を推進する将官の姿が栄光を纏って描かれていても、戦争を強いられその犠牲となる兵士の痛みや苦しみが伝わってこない」と、曽根教授は続けています。

 また、藤沢周平の「司馬の世評の高い作品を読んでいないが、それらを読めなくても後悔しないで済むだろう」という言葉も、そこで紹介していました。

 ぼくは、『坂の上の雲』をまだ全巻読んでいないので、なんともいえませんが。