「山の上ホテル」

 以前から気になっていたホテルに、御茶ノ水駅近く、駿河台上の「山の上ホテル」があります。⇒http://www.yamanoue-hotel.co.jp/index.html
 そのホテルを初めて知ることとなったのは、『文藝春秋』掲載の広告です。その文言を読んで、センスあふれる感覚に痺れました。
 いわく、「世界は大きく変ります/これからは質素な形の中で/生活の充実をはかる時代です」
 こんなことを広告に記すホテルが、ほかにあるでしょうか。

 その「山の上ホテル」をつくった吉田俊男の一代記も兼ねた、常盤新平山の上ホテル物語』(白水社)を読んで、ますます「山の上ホテル」に行きたくなりました。

 そこでは、吉田のこんな言葉が紹介されています。「もし人が他人にあたへられる最高のものが誠意と真実であるなら、ホテルがお客さまに差しあげられるものもそれ以外にはないはずだと思ひます」

 山の上ホテルでは、料理も格段においしいというのです。吉田はこんな言葉も残しています。「生きるために食ふなどとは嘘も大嘘で、人間は本来うまいものを食ふためにこそ生きるもの」

 一日も早く、山の上ホテルで、天麩羅を食べてみたいものです。