「コンクールの是非」

 今年は5年に一度開催される、フレデリック・ショパン国際ピアノ・コンクールが開かれていますが、コンクールは万能ではない、という記事が朝日新聞の10月8日夕刊に掲載されていました。→http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY201010080338.html

 なるほど、マウリツィオ・ポリーニやアンヌ・ケフェレックのように、大きなコンクールを制しても、あえてスポットライトから遠ざかり、孤独な時間を守ったアーティストもいます。

 トーマス・ブランディスは、「コンクールが、本当の意味で公平であったためしなどない。結果ではなく、過程にこそ出場の意義がある」 と言っています。

 ユリア・フィッシャーらを育てた名教師、バイオリニストのアナ・チュマチェンコも「できる限り自分の生徒はコンクールに出さない」と言う。「なるべく人前に立つ経験をさせた方がいいと思う子は別だが、感性豊かな時期に『勝つ』ことに重きを置く習慣がつくのは芸術家として不幸。むしろ、自分がしたいことを存分にやり尽くす時間を子どもたちに持たせたい」

 コンクールで受賞したからといって、バラ色の未来が保障されているわけではないのは、皆さん御承知のとおりです。