「『鈴を産むひばり』」

 10月24日付け朝日新聞書評欄で、穂村弘が採り上げていたのが、光森裕樹の歌集『鈴を産むひばり』です。
 見慣れた世界が、新しい面を見せる、芸術の力を感じさせる短歌が、そこにはあるようです。
 たとえば、次のような作品です。いずれも、穂村弘選です。

  六面のうち三面を吾にみせバスは過ぎたり粉雪のなか
  ドアに鍵強くさしこむこの深さ人ならば死に至るふかさか
  吾ひとりフロアにくしやみをする時も空を飛びかふ万の旅客機

 いいね。このなんともいえない、無駄さ加減。