「卒論には苦労しました」

 鹿島茂明治大学教授)が『一冊の本』(朝日新聞出版)に連載している「ドーダの文学史」vol.44に面白いエピソードがありました。
 それによると、鹿島が東大の院生のとき、文学部図書館書庫で、院生の仲間に「ところで君は自分の卒論をまだここに置いてあるのか」と問われ、鹿島が仰天して、「じゃあ、君は自分の卒論をここから持ち出したのかい」と聞き返した。「そんなの当たり前じゃないか。自分のこっぱずかしい卒論が後輩たちに見られて笑われたら惨めじゃないか!だれだってそうしているよ」と院生の仲間は答えたというのです。

 なるほど、それは恥ずかしい。ぼくの卒論も立教の図書館にはなく、散逸してしまいました。
 ただ、修士論文は、早稲田の社会科学研究科(「『公務員の身分保障』に関する一考察」−「分限処分」について−)と法学研究科(『地方公共団体の議会の議員年金に関する一考察』)の読書室に残っているはずで、恥ずかしい限りです。