要約と論評

1、要約

1)哲学と社会科学の課題
 人類は、西洋において通常使われる*時代区分において、古代、中世、(近世)、近代を経て、いまや現代へと至ったのであるが、その間、当然のことながら時代区分毎の、実に多くの時間相を経験した。
 *以下、小稿における時代区分はすべて、上記のとおり西洋における時間軸によるものとする。

 近代以降の人類にとって、たとえば戦争や世界恐慌などは、社会科学が密接に関係した事象である。
 このような歴史の流れを形成したその根源に、哲学としての社会科学がある。
 この哲学や社会科学の思想の源泉は、古代にまで遡ることができる。
 その後、中世においては社会の頂点に神が君臨していたことによって、世は統べられていた。

 ところが近代に至り、人類は神の呪縛から解放されたことにより、新たなる「時代の中心概念」が生まれた。
 それは、18世紀においては「国家」であり、19世紀は「社会」となり、20世紀には「自然」に移行したと、いえよう。
 こうして、中世社会から近代社会への移行にともなって、人間が人間を支配することから、自然を支配することへと、人間の衝動の方向が転換された。
 この衝動の方向転換によって、近代的科学技術が発展したのである。

 こうして、近代に至り神の呪縛から解放されると、2つの世界観が対立するようになった。
対立した2つの世界観とは、マテリアリズムとイデアリズムとであり、それは人間の思考パターンのうち最も包括的でかつ典型的なものである。

 しかし、これらは私たちの課題に対しては、完全な回答を用意したものとはなっていない。その理由は、マテリアリズムもイデアリズムも、人間中心主義的世界観に陥り、自然破壊を助長する要因を持っているからである。

 それが故に、哲学と社会科学との課題は、この対立する社会観を止揚することにある。
 そのために、哲学と社会科学とは何をすることによって人類に貢献できるであろうか。

 続きは、「らん読日記」をご覧下さい。⇒http://www.ranjo.jp/cgis/randoku/data/1161787722.html