「片岡寛光名誉教授講演会」

 さる10月24日、早稲田大学大学院公共経営研究科の初代研究科長を勤めた、片岡寛光(早大名誉教授)先生による講演会を聴講しました。

 題名は、「明治国家を建設したリーダー群像の中の大隈重信」というものでした。
 面白かったのは、次の指摘でした。

 日本を近代化に導いた明治維新は大変革であったが、それを達成したのはマグレゴール・バーンズのいうトランスフォーマティブな一人のスーパーリーダーではなく、リーダーの集合体であった。
 そのリーダーシップは、周旋・談合・取引・妥協を媒介としたトランスアクティブなものであった。

 明治2年版籍奉還から、4年の廃藩置県も、明確なプログラムとそこに至るステップを予め描いたうえでの改革ではなく、時々の必要性に迫られたインクレメンタルな改革の積み重ねの結果として、それが明治国家の建設に結実した。

 なるほど、新政府は眼前に現れた壁を次々と乗り越えることによって、結果的にいつしか明治という国家を造り上げた、というのですね。
 たしかに、幕末の志士は全員が遠大な計画を構築してから、明治維新に取り掛かった、というわけではなかったようです。