「『人間科学』まえがき」

 昨日は、保健福祉常任委員会が開かれ、5月に新病棟のオープンが行なわれる市民病院の視察に行ってきました。

 夜は、まちだ市民大学HATS『人間科学』講義録の編集会議に参加し、依頼されたいたまえがきを提出しました。
 下記の通りです。

まえがき
 2007年度後期講座、まちだ市民大学HATS『人間科学』―現代の「生老病死」と向き合う―は、まだ残暑から抜けきらぬ9月14日から、寒さが厳しくなる師走の12月7日まで、金曜日午後6時半から森野分庁舎での11回にわたる講義と、オプションとしてピースハウスホスピスと国立ハンセン病資料館への希望者による見学会を交えての全13回に及ぶ講座でした。
 ちょうどその間に、山中伸弥京都大学iPS細胞研究センター長)教授による、iPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の樹立を報告した論文が学術誌Cellに掲載されたことによって、再生医学への認識を新たにする出来事がありました。
また、日本は世界でも稀に見る長寿社会が到来したことによって、今までの智恵だけでは対処しきれない事態が増えていることもあり、時宜に適った講座だったとの思いがあります。

 11回にわたった森野分庁舎での講義を、ここで詳細に振り返ることは紙数の都合により出来かねますが、生命倫理への問いかけによって本講座は開講し、以後、不妊治療、胎児診断、遺伝子技術、先端医療技術、文化人類学からみた日本人の死のかたち、美術にみる生老病死、疾病とプライバシー、老化の科学、脳からみたストレス、生と死の自己決定権の危うさ、終末期医療、出産シーンと、まさしく今日的な生老病死が、講師の先生方による熱い講義によって展開され、認識を新たにさせられた受講生も多かったことでしょう。

 この受講録では、講座終了後に提出された「まとめの感想文」と「一言感想」を採録しました。「一言感想」はページ数の関係から全部載せることはかなわず、編集委員が適宜選択させていただきました。
 なお何れも、個人情報を保護するために、氏名は非公表といたしました。
 また、オプションの見学会に関しましては、すでに公表されました感想文集を以て代替し、本受講録への掲載は省きました。

 おわりに、この受講録作成に当たりまして、ご多忙のなかご協力いただきました編集委員の方々と、編集事務を担当されました、まちだ市民大学HATS事務局の皆様に、あらためて感謝の意を表します。ありがとうございました。
 本講座を通して、受講生が新たなる知見を獲得し、そこに拡がりと深みがもたらされますように、学びの継続を祈念して結びとさせていただきます。
                     2008年3月 編集委員一同