「声に教わる」

 人が生きていくうえでとても大事なのは、生涯にどれだけの師匠をもてるか、ということです。

 その際、大事なのは声です。
 謦咳に接するとは、うまいことをいったもので、たとえば、著書をいくら読んでも、それで師匠と接していることにはなりません。
 読みながら、その著者の声が聞こえて初めて、師匠の著書を読んでいることになるのです。

 だからぼくは、飽くことなく大学に通うのでしょう。
 本を読んだだけでは、なかなか師匠とは出会えないからです。