「サミュエルソン氏御逝去」

 さる13日、20世紀を代表する経済学者のひとりで、ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・サミュエルソンが94歳で、お亡くなりになりました。
 氏は、「資源が不完全にしか雇用されていない状態ではケインズ経済学の有効性を、いったん資源が完全に雇用された状態になると新古典派経済学の有効性を認める新古典派総合の考え方を提示し」(『岩波現代経済学事典』)、その主著『経済学』は、近代経済学の代表的入門書です。

 ぼくが、最初の学生生活を送った1970年代後半は、経済学といえば、サミュエルソンの『経済学』(都留重人訳)と相場が決まっていました。
 ところが、1970年代のスタグフレーションに対して、有効な経済政策を打ち出せず、サミュエルソンは、急速にその影響力を薄れさせてしまいました。

 ですから、その死に対しても、日本のマスコミは、じつに素っ気ない対応でした。
 なるほど、こういうものかとも思いますが、そもそも、いまの経済学部でサミュエルソンは、ほとんど等閑に付されていますから。