「大平正芳ブーム」

 さる5月1日の朝日新聞、翌2日の読売新聞でも、出版界における大平正芳元首相に関する本が相次いで出版されている現状が、レポートされていました。

 それらは、『大平正芳全著作集』(講談社)、辻井喬『茜色の空』(文藝春秋)、福永文夫『大平正芳 「戦後保守」とは何か』(中公新書)の出版に現れているというのです。

 読売の橋本五郎の引用によれば、大平の一貫した思考方法は、「楕円の思想」だというのです。
 つまり、“統制と自由、理想と現実など相矛盾する二つの中心を大事にし、その緊張関係の中で均衡を保ちながら解を見つけようとする考え”を大平はもっていた、というのです。

 なるほど、大平は「近代」が内包する問題を、「楕円の思想」で解決しようとしていたのですね。