「落語の下手を棚に上げて」

 1981年に師匠のもとに入門を許されてから、低空飛行をつづけている落語家ですから、こんなことをいうのは、憚られるのですが、落語に縁なき衆生はいるのではないか、というのが実感です。
 つまり、日本人はすべて落語を好きだというのは、幻想だと思うのです。
 落語なんか、どうでもいいや、と思っている日本人は結構いるはずです。
 それが証拠に、先代の金原亭馬生師匠は、落語家なんて「なくても、なくてもいい商売なんだよ」と常々おっしゃっていました。