「日本の散文」

 大室幹雄が『志賀重昂「日本風景論」精読』で、日本の散文は、「福沢(諭吉)から内村(鑑三)や志賀(重昂)にいたる元気のいい硬質な散文を拒否した。それが以後の日本の散文にとって仕合わせであったかどうか」と記すように、元気のいい硬質な散文を見かける機会があまりありません。
 福沢諭吉の『福翁自伝』は、快活さあふれる颯爽とした語り口が得難いものです。