「私の視点−藤原帰一(東大教授)」

 今日の朝日新聞「私の視点」で、藤原帰一が、注目すべき視点を提示していました。

 彼は、そこで以下のように記している。
 “憲法9条と絶対平和主義が展望を開くとも考えない。一見すれば普遍主義的なこの主張は、日本の非武装化を世界平和の推進にすり替えた概念操作であって、核抑止の受益者であるという日本の現実と奇怪な共存を続けてきたものに過ぎなかった。他者の排除なしに平和があり得ないと信じ込む勢力を前に、戦力を放棄した世界を説いても意味はない。”

 ぼくは、この小論を読んで、いささか驚かされました。
 というのも、藤原といえば、リベラル派の論客として有名なのにもかかわらず、ここまで、踏み込んだ発言をしたことに、驚いたのです。

 けれど、たしかに、お題目のように、憲法9条を唱えたところで、平和が維持できるものではありません。

 昨年の「論座」4月号では、是枝裕和が、「いまの護憲の人たちは、(内実が)どうズレようがこの憲法があることが大事だという。それは信仰」だと指摘していました。

 ぼくは、護憲派を任じていますが、それにしたところで、国会で改憲論議をするぐらいならば、ほかにもっとやらなければいけないことがたくさんある、と言う意味での護憲派です。

 ぼくは、憲法を信仰の対象として考えたことは、ありません。