「日本人の『長所』は何か」

 慶應義塾大学鈴木孝夫名誉教授は、日本人には長所が2点あると、いいます。

 一つは、日本人ならば誰もが深層心理に抱いている「アニミズム的な世界観」。
 たしかに、日本人は生きとし生けるすべて、いいえ、それどころか山や森にまで魂や精神性を見出して、それを崇敬します。

 もう一つは、混合文化社会をつくる才能です。
 これは、悪く言えば好い加減であり、よく言えば硬直したイデオロギーとは無縁のありようです。
 たとえば、宗教のように、本質的には異質の他者を認めない領域でさえ、すべて相対化し、融合させてしまいます。つまり、原理原則の議論を戦わせ、強固な信念で相手を説得するよりも、実際に役立つ物事を好む実利的性向がある、というのです。

 たしかに。
 ですから、小泉首相による原理原則を重視した自民党改革も、私はあまり、感心したものではない、と最近思い始めているのです。
 何でもありが、自民党の好さではなかったのかと。