「『政治経済学』はマル経」
1日の朝日新聞夕刊に、橘木俊詔(京大)教授が、「マル経と近経」という小論を寄せています。
そこで橘木教授が指摘するまでもなく、“日本だけは特殊な状況にあった。戦前・戦後を通じてマル経と近経のどちらが優位であったかと問われれば、マル経であった。”日本において、“資本主義国の優等生として経済大国になったが、経済学は資本主義を否定するマル経が優勢という、実践の経済と学問の経済学の間に乖離があるという不思議な国”であった。
1980年代後期に多くの社会主義国が崩壊したことを受けて、さしもの日本の経済学界でも、マル経の肩身がよほど狭くなりました。
といって、大学において、旧東ドイツのように、マル経の学者を追放することは、日本ではほとんど不可能でした。
けれどそのまま講義名に、「マルクス経済学」を冠するのは憚られたのでしょう。しかるに、経済学部の教員は、どうしたか。
マル経が扱う経済学とは、political economyなのだから、社会経済学、ないしは、政治経済学という講義名にしたのです。
中には、「資本主義の原理」(専修大学経済学部)や、「経済理論ⅠA・資本の原理」(駒澤大学経済学部)、「経済原論A」(立教大学経済学部)という講義名にしている大学もあります。
しかしこれでは、知っている人には分かるでしょうが、知らない人には、いったいどんな学問領域なのか、見当がつかない、という場合もでてくるでしょうから、いっそのこと、早大政治経済学部のように、「社会主義経済学」と銘打てば、もはや誤解する人は出て来ますまいに。