「石阪丈一町田市長への略式命令」

 町田市の石阪市長が、政治資金規正法違反の容疑で書類送検された事件で、横浜簡裁は石阪市長に罰金30万円の略式命令を出しました。
 その際、市長職の失職につながる公民権停止の条項は適用しませんでした。

 検察は、この命令に不服の場合、14日以内に正式裁判の請求をすることが出来ますから、事態は流動的ですが、12日現在、その請求をしたとの情報を私はまだ掴んではおりません。

 市長は、11日に行った記者会見で、「厳しく反省」し、「道義的責任を何らかの形で表現する」と語りました。

 さて、日本はいうまでもなく、人治国家ではなく法治国家です。

 裁判所は、罰金30万円の略式命令を出した際に、公民権停止の適用を見送りました。これは、法学では平等原則とともに重視される、比例原則に則った決定と考えられます。

 比例原則とは、達成されるべき目的とそのためにとられる手段との間に合理的な比例関係が存在することを要請する原則です。

 したがって、わずかな不正に対し、不相当に過酷な処分をすることは比例原則に反し違法です。

 これは、憲法13条及び14条から導かれるものです。

 私は上記の原則に照らして、裁判所の決定を重く見たいと考えています。
 つまり、公民権停止は免れたものの、市長に罰金刑が出されたのも事実なのですから、損なわれた信頼を取り戻すためにも、より真摯に市政に当たっていただきたいのです。

 くれぐれも、市民の不信感を増幅させるような言動の変節は謹んでいただきたい、ということです。