「『みどりのHATS』に寄稿」
12日は、まちだ中央公民館で開かれた、『まちだ史考会』主催の映写会に参加してきました。
前週は、『みどりのHATS』の会報に寄稿しました。
このように、町田市は結構市民団体が、活発に活動しています。
議員として、及ばずながら支援していくつもりです。
寄稿した文章は、下記の通りです。
「環境法」を受講して
12期 三遊亭 らん丈
【緒言】
「みどりのHATS」は、名前からもお分かりの通り、環境に大いなる関心を持ち、その保全に配慮する団体であることは、言うまでもありません。
そこで、今回のレポートは、私が現在学んでいる大学での、環境に関する講義について、その最新の動きをご紹介してみます。
【大学における環境に関する講義】
私は今年度、早稲田大学社会科学部の法学分野科目で、「環境法」を受講しています。
こう書くと、すでに法学部を卒業された方からは、自分らが学生のころは、「環境法」という科目は開講されていなかった、とおっしゃる方がいらっしゃると思いますが、今は、環境法が開講されていない法学部を探すのに苦労する、といった按配です。
ここで、ぼくが在籍する社会科学部のことに触れてみます。
おそらく社会科学部は、日本では早稲田大学にしかない学部ですので、
初めて眼にする学部名かもしれませんが、欧米ではごくありふれた学部です。
そこでは、文字通り、社会科学全般についての講義が開講されています。
つまり、社会科学総合分野は当然のこととして、政治学、法学、経済学、商学を中心に、他にも、情報科学や人文科学、自然科学の科目も設置されているのです。
なかでも、『学際研究入門』という科目は、「社会諸科学の総合的、学際的な教育・研究の実践」を体現する社会科学部では、欠くべからざる科目です。
そこでは、今年度「環境と計画」という科目が、開講されています。
ほかにも、環境系の科目を社会科学部においては、「地球環境論」、「居住環境論」、「環境計画実習」、「環境社会論」等全部で22もの科目が開講されています。
それどころか、今年度早大では、11学部にわたって合計398科目もの環境に関する科目が、開講されているのです。
もうひとつのらん丈の母校、立教大学では、9学部3,338科目の開講科目のうち、363科目が環境に関連した科目です。これは実に、全開講科目の1割以上に当たります。
このように、今日の大学の科目構成において「環境」は、とても重要なファクターとなっており、もはや軽視する大学は皆無、といってもよいでしょう。
【「環境法」について】
さて、では、環境法では、どんなテキストを使用しているのかといえば、その名もずばり、『環境法入門』(有斐閣)です。
面白いのは、その筆者構成です。
交告尚史(東大教授)、臼杵知史(同志社大教授)、前田陽一(上智大教授)、黒川哲志(早大教授;本講義担当)の4名ですが、それぞれの先生は、環境法のほかに、異なる専門分野をお持ちなのです。行政法、国際法、民法といった具合に。
つまり、これは、そのいずれの先生も、おそらく学部学生の時分は環境法という科目はなく、それぞれ別の分野の研究をしていたものの、大学院に進学して初めて、環境法に触れたために、このように、環境法のみを専攻していないものと推定されるのです。
ことほどさように、環境法は学問としては新しい、ということなのです。
本書の内容は、以下の通りです。
第1章「自然保護」、第2章「廃棄物・リサイクル」、第3章「大気汚染」、第4章「環境法の基本原則」、第5章「環境保護の担い手」、第6章「環境保全の手法」、第7章「環境紛争とその解決方法」、といった具合です。
【「環境法」が重視すること】
たくさんありますが、現在のところ、ぼくが最も重要だと認識しているのは、生物多様性の確保です。
ここで本講義の講義概要を見てみましょう。それが検証できます。
“四大公害事件に象徴される激甚な産業公害は、公害対策基本法を頂点とする伝統的な公害規制システムによって一応克服されたが、自動車の排気ガスによる都市の大気汚染などの都市生活型公害や地球環境問題が取り組むべき課題として残っている。また、化学物質による汚染も忍び寄っている。これらの問題に対応して、環境法は近年目を見張る発展をしてきた。自然の価値に対する認識が国民の間で深まっていることを反映して、自然保護の法制も整備されてきている。本講義では、公害・環境問題の構造にまで踏み込んで捉え、その解決のために取り入れられた法システム、あるいは採用すべき法制度について議論したい。都市における生物多様性の確保についても、論じる。”
いかがでしょうか。今や、大学もこのようにして、環境にかくも配慮しているのであり、そのほんの一端をお知らせいたしました。
もうひとつ申し添えたいのが、「NIMBY(Not In My Backyard=うちの裏庭お断り)シンドローム」といわれている、周辺住民が廃棄物処理場などの迷惑施設の設置に反対する現象です。
これは環境的正義の問題として捉える姿勢が、不可欠なものだと思います。