「『〈子ども〉のための哲学』」

 新書といえば最近では、養老孟司バカの壁』、藤原正彦国家の品格』の2冊が途方もない売上げを記録していますが、もちろん、それ以外にも読むべき新書は、実にたくさんあります。

 たとえば、宮崎哲弥が戦後啓蒙御三家とよぶ、丸山眞男大塚久雄川島武宣は言うに及ばず、ぼくは岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)をお奨めします。

 また、永井均千葉大教授)『〈子ども〉のための哲学』

<子ども>のための哲学 講談社現代新書―ジュネス

<子ども>のための哲学 講談社現代新書―ジュネス

講談社新書)をつい最近読みましたが、前述の宮崎哲弥が同書を「すでに古典といってよい」と言及しているだけあって、なるほど、面白かった。
 この本で扱っている問題は、たった二つだけです。
 ひとつは、“なぜぼくは存在するのか”、もうひとつは、“なぜ悪いことをしてはいけないのか”。

 ここでいう、子どもの哲学の大きな特徴は、純粋に知的なことです。

 同書で最も腑に落ちたのは、次の言葉です。
 “思想を持てば、思考の力はその分おとろえる。”