「吉田秀和健在也」

 昨年11月3日に、93歳と40日で音楽界からは、山田耕筰朝比奈隆に次いで3人目となる文化勲章受章者となった、評論家の吉田秀和が健筆ぶりを発揮したのが、さる2月21日の朝日新聞夕刊に掲載された「音楽展望」でした。

 「音楽展望」は永らく朝日新聞の名物コラムに君臨し、このコラムを読みたいから朝日を購読している読者も少なくないはずですが、2月21日はじつに久しぶりの登場だったのでした。

 すでにお読みになった方も多くいらっしゃることでしょうが、昨年のモーツァルト生誕250年を記念しての演奏会に、まるで興味がわかなかったと、吉田は述懐する。

 なかで吉田はこんなことを、記しています。
 “人間社会には予測不可能なことが始終頻繁に起きる。
 だが、起きてみると、何も新しいことはないと誰にもわかる。”

 “テレビなどで大騒ぎして伝えるものなど、昔から誰もが知ることを少し塗り替えて見せていることが少なくない。”

 最後に、ベートーヴェンピアノソナタ群の最後の作品111を、手放しで称讃していました。