「2006年度後期『まちだ市民環境講座』あとがき」

 ぼくが今年度受講した、『まちだ市民環境講座』で修了生レポート集を出すことになり、らん丈はその編集委員の一人として、あとがきの担当をおおせつかりました。

 そのあとがきを、下に掲出します。
「“必要”なことなので、環境を考える」 三遊亭らん丈
 軍事政権下の市民生活を視察するために、私費で先日、タイのバンコクに行ってまいりました。
 バンコクは聞きしに優る交通渋滞で、中心街はどこもかしこも自動車が延々と連なっていて、その排気ガスたるや凄まじいばかりでした。
 ところが現地の方々は、そんなことは一切気に留めていません。
 思えば日本も昭和40年代初頭までは、同じようなもので、ぼくは、自動車の排気ガスの臭いが好きで、クルマを追っかけては排気ガスを嗅ぎまくっていたものです。
 話は変わりますが、人が母語以外の言語を習得する最も確実な誘因は、必要です。
 逆に言えば、必要がなければ、母語以外の言語を習得することは極めて困難です。
 日本にいる限り、日本人は日本語さえマスターしていれば、日本語以外の言葉を使う必要がないので、日本語以外の言語をなかなか習得できないのです。
 けれど、そんな日本人でも海外に行けば、日本語以外の英語等を使うことになります。それは、必要だからなのです。
 環境も同じようなもので、環境の保全は、今日の日本では必要と思っている日本人が増えたために、排気ガスには規制を設けているのです。
 公害で日本人は大きな被害を受けたために、環境の保全は必要なものと認識するようになったのです。
 本講座が、環境問題を考えるにあたって、受講生に様々な“必要”を供したことを確信し、このレポート集がその何よりの証左であるとの思いを籠めて、あとがきとさせていただきます。