「福澤諭吉著『分権論』」

 早大大学院公共経営研究科「地方分権論」の教材でもある、福澤諭吉著『分権論』を読んでいます。

 この本は、西南戦争が終わった翌々月の明治10年11月に、出版されたものです。
 以下に、その感想をいくつか記します。

1、国権に二様の別あり。
政権=gevernment=中央政府
治権=administration=地方政府

2、これは、丸山真男によれば、フランスのトックビルの「American Democracy」に影響を受けている言説。

3、p.20“官より之を強ゆること甚だしからざりしもの程、永続の見込あるが如し。
 なかなか面白いねぇ。

4、“政府と下民との間に現に無数の小政府を造り出し”、現在の外郭団体、たとえば、社会保険庁を指しているのではないかと思わされた。

5、“地方永住の人にして始て地方の情実を詳にす可きなり。”
 私は、逆に地方の実状に通じている方は、改革しにくいのではないのかと、思った。