「『アメリカの力は大学の力である』」

 アメリカという国は、良しにつけ悪しきにつけ、とんでもない国だとは、よく聞きますが、『考える人』07年秋号(新潮社)での特集「アメリカの考える人たち」によると、アメリカの大学の凄さが実感できます。

 なによりも、アメリカの大学の底力を担っているのは、リベラルアーツの歴史と伝統です。
 人文科学、社会科学、自然科学といった教養は、「すぐには役に立たないかもしれない学問」ではありますが、それを少人数制で行うカレッジは、層が厚く、揺るぎなく大学の底辺を支えています。

 目を瞠るのが、大学の規模です。
 スタンフォード大学の敷地は、山手線内側の半分以上に相当する途方もない広さです。

 同大学の財政基盤は、個人や法人からの寄附金が母体となる大学基金が、1兆5千億円超。
 ちなみに、東大の2007年度末の基金の目標額は、130億円。
 つまり、スタンフォード大学の百分の一以下が、東大の目標額です。
 これではアジアの留学希望者に、日本の大学に留学に来てくれとは、なかなか言い難いものがあります。