「『こんな大学で学びたい!』」

 山内太地さんの、『こんな大学で学びたい!』(新潮社)を読みました。

 この本は、国内の4年制大学773校(2009年度現在)の外、9カ国の全847大学を見学した著者による、日本全国773校の大学探訪記です。

 著者の山内さんの面白いところは、キャンパス見学に行くと「大学内に、学生がいつでもいられる空間を確保」してあるかどうかを探すところです。
 たしかに、高校生までと違って、文系大学生には個人特定の教室と机があるわけではありません。(理系の場合は、最上級生になると、研究室に入れるのでその限りではありませんし、大学院生の場合は、机が与えられる場合が多くなります。)
 その「学生がいつでもいられる空間」で、学生は人格形成が図られるというのです。
 それと、学園祭の重要性と、その水準が偏差値とはまるで相関関係にないことも、指摘しています。

 印象に残った言葉があります。
 清泉女子大学での、「空間が教育をしているのです」。
 東京都市大学では、「これこそが大学のあるべき姿だ。いくら偏差値が高い大学でも、学生がゼミにも入らず、論文も書かず、たとえ取り組んでもその成果を社会に発表することもなく、3年生で就職活動を終えて4年生になったら遊んでいるだけでは、大学とはいえない。」と指摘していました。