「歌人河野裕子さん御逝去」

 10年来ガンと闘ってこられた、歌人河野裕子さんが、64歳の若さで12日の夜に御逝去されました。

 河野さんは、今日の歌壇では、第一人者の大歌人だったといえましょう。それだけに残念でなりません。

 その代表歌のひとつが下記のものでした。

  たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり

 あるいは、こんな歌もありました。

  つくづくとさびしい人だね裕子さんれんげの芽を見てゐる後ろ手をして

  ふくふくと弾み返せる赤ん坊からだのどこも土に触れしことなし

 惜しみて余りあり。