「憲法記念日」

 今日は、憲法記念日ですから、『法律学小事典』(有斐閣)で、憲法を引くと、「憲法のもつ法的規範の特質として、イ 最高規範、ロ 授権規範、ハ 制限規範の3つが挙げられることが多い」と記されています。

 上記イ、ロに関しては、いうまでもないことでしょう。ロであれば、授権するということは、受権する機関の制限を法的に枠づけすることを意味することは、容易に知るところとなるからです。

 ハの制限規範とは、立憲的意味の憲法においては、国家権力の制限を目的とするのです。

 したがいまして、2004年2月の衆院憲法調査会小委員会で、ある代議士が、「憲法には権利規定が多いが、国民の義務規定が非常に少なく、バランスを欠く」という発言をなさったことには、驚かされました。
 なぜならば、伊藤博文は、「憲法を設くる趣旨は、第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」(樋口陽一)と政府の会議で語ったことからもわかるように、憲法に国民の義務規定が少ないのは、いわば当然のことだからです。