「二大政党制は、『民主主義の行き詰まりの形』」

 先日、第21回講談社エッセイ賞を『日本語ぽこりぽこり』(小学館)で受賞した、詩人のアーサー・ビナードさんが朝日新聞夕刊に連載している「日々の非常口」(9月8日)で指摘するように、二大政党制は『民主主義の成熟した形」ではなく、『民主主義の行き詰まりの形』なのかもしれません。

 なぜならば、今回の総選挙の結果を見ると、

小泉自民党が圧勝したのは、小泉総裁が争点を郵政民営化一本に絞ったために、それに賛成するか反対するかを問う、選挙戦術が成功した結果招来されたもの、これが最も大きな理由でしょう

が、もうひとつ、野党第一党民主党があまりに不甲斐なかったことも、見逃してはいけない理由だと、ぼくは思うのです。

 たとえば、前回の米国大統領選挙の結果は、いうまでもなくブッシュが勝利を収め、ケリーが負けたのですが、その理由は、ブッシュの主張が明快だったのが大きな勝因だったのです。

 ビナードさんは上記のエッセイで、こうも記しています。
 “国民に二社択一のシャワーを浴びせ、議論が深まらないようにしむけ、選挙が近づけば、「共和党」と「民主党」とどっちがいいかと盛んに聞く。他の候補者がいても、どうせ勝ち目がなく捨て票になるだけだという雰囲気を、国中に漂わせる。
 その結果、毎回「ハンバーガー」と「チーズバーガー」のどっちかを選ぶような、食傷し切った後味最低の投票となる。料理は種類がいろいろあっていいはずなのに。”

 ぼくは常々いうように、日本の政治は3極構造にして、有権者に選択の幅を広げたほうが、親切だと思います。