「『ひとがた流し』に感動!」

 朝日新聞の夕刊に連載されている、北村薫の『ひとがた流し』については、すでに、2月3日の日記でも触れていますが、昨日、ひとつのクライマックスを迎えました。
 それは、次のように。(原文縦書き)

 美々は数歩近付き、牧子を見た。その表情で、牧子は、全てを悟った。
 「……いつ?」 
 とだけ、聞いた。美々が答える。
 「――今朝。八時頃だって」
 朝食の時だ――と、牧子は思った。わたしは、ここでご飯を食べていた。
 後を聞こうと思ったが、言葉が出なかった。美々に、《一時間ぐらいしたら、また来ようか?》と問われ、やっと頷いた。

 未読者には、はなはだ、分かりにくいでしょうが、説明は敢えて、省きます。
 こうして写していても、こみ上げるものがあります。

 未読者は、是非、単行本刊行時にお読みになると好い。
 ぼくが、責任をもって請け合います。