「明治憲法の2大悪」
大日本帝国憲法(明治憲法)の2大悪と言えば、「第11条天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と「第71条帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政治ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ」、つまり、統帥権と施行予算制です。
施行予算制に関しては、今更いうまでもないでしょう。
予算の議決が議会の存在理由なのですから、これでは三権分立が機能できるはずがありません。
柳沢伯夫衆院議員も、「予算というのは民主主義そのものだ。予算案審議こそ、国会の命だろう」と言っています。
統帥権については、実に多くの指摘があるので、今更これもいうまでもないでしょう。
司馬遼太郎も、統帥権が戦前の日本を破滅に導いたと言及していますし、太平洋戦争において、陸海軍の軍官僚があれほどの力を持ち得たのは、統帥権を盾にして、人事権、予算配分権、政策決定権を掌中のものとしていったからだというのはもはや、常識です。
つまり、軍官僚は、内に対して優越し、外に対して独立し、思いのままに国策を弄することに成功したのです。
事実、作戦部の人事については参謀総長らが握り、東条英機首相といえども思い通りにはならなかった、といわれています。
ですから、ガダルカナル作戦では、東条と対立した田中新一参謀本部作戦部長は、一歩も引かず、東条と殴り合っても自説を撤回せず、レイテ決戦では、「連合艦隊の最期、その死に花を戦争指導の上に必ず生かそう」と、成算のない作戦を後押ししました。
それどころか、作戦・政策について、天皇が希望を述べても、軍官僚はそれを突き放しました。
東条は、東京裁判の刑の執行前に、「我が国従来の総帥権は間違っていた。あれでは陸海軍一本の行動はとれない」という言葉を遺しました。