「『折々のうた』最終回」

 何事も始めがあれば自ずと終わりがあるのは、道理です。

 足かけ29年、6762回にわたって朝日新聞朝刊に連載された、『折々のうた』が、本日を以て終わりました。

 ぼくの一日は、朝日新聞の『折々のうた』を読むことから始まりました。
 御蔭で『折々のうた』によって、じつに多くの秀歌、秀句と出会うことが出来ました。
 歌人ならば、小沢蘆庵、奥村晃作、小池光を知ったのも、この『折々のうた』です。

 たとえば、清水房雄の下記の歌。
  葬式仏教の僧侶来りて経を読むあれが小生もつともきらひ

 こういう歌は、『折々のうた』と出会わなければ、決して知りえなかったことでしょう。
 明日からどんな朝を迎えれば好いものやら。

 今日採り上げたのは、下記の歌でした。

  薦着ても好な旅なり花の雨  田上菊舎

 このクールな終わり方にも、好感が持てますね。