「hospitalityと補完性」
hospitalityは、「歓待」と訳されていますが、それを体現している方を眼にすると、心の底から感嘆してしまいます。
それは、NPO法人友の輪会の主宰者、松石御夫妻です。
松石さんは、親御さんの介護を通して、もっと家庭的な介護施設を作りたいとの思いから、ご自宅を改装して、そこに介護施設を設けた方です。
それに伴い、ご主人は、弁護士活動の傍ら勉強し、ヘルパーの資格も取得なさいました。
たまたまぼくが出演しているTV番組をご覧になって、落語出演のご依頼を受けてから、年に何回かはお邪魔して、落語を勤めているのですが、一昨日お呼ばれされたのです。
そこで、昼食を利用者の皆様とご一緒に頂きながら、松石さんと昨年施行された障害者自立支援法のお話をしていると、松石さんは「この会は、その法律の影響は限定的です」とおっしゃるのです。
つまり、行政の関与をなるべく受けないかたちでの運営を心がけているから、同法の施行もあまり影響を受けないのです、とおっしゃるのです。
なるほど、これこそ、EU諸国に普及しつつある、「補完性」なのだと思いました。
まずは、自分でやってみる。それで充分でなかったら、住んでいる基礎的自治体を頼る、それでも駄目なら、都道府県、それでも充分でなかったら、初めて国を頼る。
でも、自分で出来るから、行政は頼らない、ということなのです。
松石御夫妻に接すると、御二人の溢れる笑みで、こちらの心の奥底まで暖めてくださるようで、hospitalityの素晴らしさを実感させてくださいます。
そこには、献身に伴う悲愴感はかけらも見られず、出来ることを、利用者に喜んでいただけるように、精一杯させていただく、hospitalityというものの本質に触れる思いで、いつも感嘆させられます。