「教育再生会議と中教審が考える『道徳』」

 教育再生会議では、これまで数値による成績をつけてこなかった小中学校の道徳を、国語や算数と同じように「教科」にするという案を、アジェンダに載せようとしています。

 すると、道徳がいずれ成績評価の対象になったり、教材も教科書として検定の対象になったり、はたまた、入学試験の科目になるかもしれません。

 それに対して、中央教育審議会山崎正和会長は、26日記者会見し、「現在の学校制度で倫理(道徳)教育することは無理がある」と、現在も授業に取り入れられている道徳の時間も含めて否定的な考えを示しました。

 中教審は、文科相の諮問機関であり、教育再生会議は内閣に設置されたものですから、その性格は自ずと異なるのですが、見解も正反対のものとなりました。

 山崎会長は、「今の社会は価値観の多様化が前提だ。盗んではいけない、暴力はいけないなど一致できる徳目もあるが、倫理の根底に届く事柄は学校制度になじまない。まして、採点できるかは難しい」とごく真っ当な指摘をしています。

 また、小中学校で行われている道徳の時間については、「教科で教えることでなく、教師や大人が身をもって教えることで、現状でも無理があると思う」とも発言してます。